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相続税の改正について

相続税については、平成25年度税制改正大綱により、格差是正と富の再分配機能の回復を図る観点から課税が強化される方針が示され、第183回通常国会で相続税の改正案が可決・成立しました。これにより2015年1月1日以後、相続における基礎控除額や相続人1人当たりの控除額が従来の6割程度に引き下げられ、相続税の課税が強化されることになります。
これら相続税の改正点については、テレビや新聞、雑誌といったメディアでも多く取り上げられるようになり、改正によってどのような影響が出るのか気になっている方も多いかと思います。相続税の改正によって、ご自身が相続税課税の対象者になるのか、日々の生活がどのように変わるのか、事前に把握しておきましょう。

相続税の改正による基礎控除の引き下げ

相続税改正前
基礎控除=5,000万円+1,000万円×法定相続人の数
相続税改正後
基礎控除=3,000万円+600万円×法定相続人の数

例えば、父・母・兄・弟の4人家族で父が亡くなった場合、改正前であれば
5,000万円+1,000万円×3(母・兄・弟)=4,800万円
となり、父の遺産総額が4,800万円以下であれば相続税はかかりません。この金額は、住宅や土地を所有している一般家庭であったとしても、なかなか相続税がかかる金額ではないと思われます。

しかし、これが相続税が改正される2015年以降になると
3,000万円+600万円×3(母、兄、弟)=4,800万円
となり、4,800万円以上について相続税がかかってしまうこととなります。この金額自体は、所有する住宅や土地の立地や評価額によっては、十分に相続税がかかってしまう金額であると言えます。

また、住宅や土地といった不動産以外でも、現金や有価証券などを大量に所有している方等、2015年以降に相続税がかかってくる可能性が高いと言えます。基礎控除が引き下げられる前に、早めの対策を心がけましょう。

相続税改正後の相続税速算表

相続税改正による基礎控除の引き下げにより、今までは相続税の心配をする必要のなかったご家庭でも、相続税が発生する可能性が高くなります。下記の速算表をご参考にして、2015年以降の相続税がいくらくらいになるのかを把握しておきましょう。

相続財産 配偶者と子供1人 配偶者と子供2人 子供1人 子供2人
改正前 改正後 改正前 改正後 改正前 改正後 改正前 改正後
5,000万円 0 40 0 10 0 160 0 80
4,800万円 50 235 0 175 250 680 100 470
1億円 175 385 100 315 600 1,220 350 770
2億円 1,250 1,670 950 1,350 3,900 4,860 2,500 3,340
3億円 2,900 3,460 2,300 2,860 7,900 9,180 5,800 6,920
5億円 6,900 7,605 5,850 6,555 17,300 19,000 13,800 15,210

※単位は万円

※法定相続分通りに分割した場合を前提とします。

※配偶者控除の適用により、配偶者の税額は0と想定しています。

相続税の計算方法

大まかな相続税を把握するためには上記のような相続税速算表を参考にするのが最も簡単なのですが、実際に相続税を算出する場合は、複雑な計算をする必要があります。以下に、相続税の計算方法をご紹介しますが、実際には相続税の専門家である税理士にご依頼いただくことをお勧めします。

  1. 1. プラスの財産-(非課税財産+マイナスの財産+債務控除の対象となる葬式費)=遺産額
  2. 2. 遺産額+相続開始前3年以内の贈与財産=課税価格
  3. 3. 課税価格-基礎控除(5,000万円+1,000万円×法定相続人数)=課税される遺産額
  4. 4. 課税される遺産額を法定相続人の数で分配(実際の配分に関係なく)
  5. 5. 分配された課税遺産額×相続税率=相続税の総額
  6. 6. 相続税の総額を実際の遺産相続の割合で配分-税額控除=相続税額(納税額)

相続税改正後の相続税対策について

2015年相続税の改正に備え、早めに相続税対策を行うことをお勧めします。
有効な相続税対策として、まず相続税の配偶者軽減が挙げられます。これは、配偶者の遺産形成に対する貢献や今後の生活保障を考慮して設けられた制度で、配偶者が相続した財産1億6千万円以下、もしくは法定相続分相当額以下の場合、相続税はかからないというものです。ただし、法定相続分を超える財産を取得した場合には、2次相続の相続税の負担が大きくなるため、1次、2次を合わせたトータルで見ると損をしてしまうことがあります。
なお、遺産が未分割の場合には、この適用は受けられませんのでご注意ください。

また、生命保険相続税対策として有効です。
父が契約した保険に父が保険料を支払い、受取人が母や子供の場合、受け取る死亡保険金には相続税がかかります。これは死亡保険金が、非相続人が亡くなってから支払われる、いわゆる「みなし相続財産」となるため、相続税の課税対象となるのです。ただし、「500万円×法定相続人の数」までは、相続税はかかりません。

生命保険の受け取りは現金ですので、納めるべき相続税を死亡保険金で払えるようにしておくなど、相続税の対策をしておきましょう。ちなみに、この生命保険の非課税枠については、非課税枠の縮小が検討されていましたが、2015年の相続税改正においては縮小が見送られました。